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村岡総本舗の羊羹づくり

羊羹の原材料 羊羹の種類 羊羹を選ぶ際のポイント 煉り羊羹の日持ち
羊羹づくり(製法) 製法へのこだわり

羊羹の原材料

弊店社内でよく出る言葉としまして、「材料に勝る技術なし」という考えがございます。そのため、長い年月をかけて、社長自らが、全国各地を回り、より良い材料を確保してまいりました。

羊羹は小豆、砂糖、寒天といったシンプルな菓子です。それゆえに、ごまかしが効きません。そういった点からも、「材料に勝る技術なし」という信念が生まれたものだと思います。

小豆は北海道産以上のものを使用し、丹波産の大納言を使用した高級な羊羹はあっさりとした独特な味わいがあります。

弊店で特筆すべき点は白小豆を使った羊羹です。紅煉(べにねり)や挽茶(ひきちゃ)の羊羹は、白小豆と大手亡を使用しており、高価なものは白小豆だけを使用しております。この白小豆は、通常は、京都の高級上生菓子で使われているぐらいだと思われ、羊羹にふんだんに使うといったことは、全国でもほとんどないと思われます。あっさりと、上品な味わいは後味が良く、関西より西で特に人気がございます。

次に寒天ですが、糸寒天と角寒天を使い分けています。特に、外側が砂糖のシャリ感がある昔ながらの羊羹である「特製切り羊羹」や「流し箱羊羹」には、角寒天が欠かせません。十数年前に角寒天が値上がりした時期に、糸寒天のみの使用を検討していたところ、工場長の提案で両者を食べ比べた結果、やはり食感に差が出てしまうということで、高くとも使い続けようと決めたというエピソードも残っています。

最後に砂糖ですが、白双糖(はくざらとう)、氷砂糖、和三盆糖を羊羹の値段等によって使い分けています。白双糖と、氷砂糖を比べると、氷砂糖のほうがあっさりとして、上品な味の羊羹に仕上がります。また、和三盆糖を仕上げの段階で使用することで、風味が出ます。「羊羹に和三盆を使用しても熱で風味が飛んでしまう」という考えもありますが、使用していないものと食べ比べた結果、使用したほうがおいしいため、使い続けております。

良い材料を使用するということは、大変なことでもあります。平成七年の米不足の際は、小豆も不作となり、和菓子業界にとっても大変な年になりました。弊店も白小豆が一俵六万円ほどだったものが、二十四万円まで跳ね上がり、「作れば赤字」というなかで、使用し続けたということもあります。

社長自らが、産地をまわったことや、長年の情報の積み重ねでよくなった点もありますし、今まで使用したことのない小豆の試作等も行なっています。


羊羹の種類

蒸し羊羹

寒天ではなく葛や小麦を使用した羊羹です。日持ちがしないため、江戸時代に煉り羊羹が発明されると次第に主役の座を奪われますが、それまでは羊羹といえば蒸し羊羹の事でした。 村岡総本舗では毎年二月に「季節の棹物」として販売しています。

煉り羊羹

煉り羊羹の起源は江戸説、京都説、長崎説とありますが、ここでは江戸説をご紹介いたします。江戸後期の寛政(1789〜1801年)初年に、幕府御用の菓子司、大久保主水(もんど)の職人だった喜太郎によって江戸・日本橋ではじめて売り出されたといわれています。これは煉りあげた羊羹を木箱に流した「流し箱羊羹」でした。

村岡総本舗の商品では「小城櫻」、「小城の朔羊羹」、「流し箱羊羹」がこれにあたり、その中でも「小城の朔羊羹」は資料をもとに寛政年間の喜太郎の羊羹を再現したものです。

また、これらの木箱より大きい「流し箱」に流し、一昼夜寝かして固めた後に切り分け、竹の皮に包み込んだ羊羹があります。現在ではこの形の羊羹は全国的に見ても珍しく、日光にも扱っている店があるのを確認しましたが、小城町のようにこの羊羹をほとんどの店舗が一年中扱っている地域はおそらくないと思われます。村岡総本舗では、これを「切り羊羹」と呼んでおり、「櫻羊羹」、「特製切り羊羹」、「特製切り羊羹小函」がこれにあたります。

現在、一般的に広く普及しているアルミ箔の袋(ガゼット)に羊羹を流し込み、日持ちのする煉り羊羹を作る技術が発明されたのは昭和初年の事といわれています。

村岡総本舗では、「切り羊羹」と区別するために「流し込み(充填式)羊羹」と呼んでおり、「丹波白小豆製羊羹」、「丹波大納言製羊羹」、「極上羊羹『心・愛・和』」、「特製羊羹」、「小城羊羹」、「小型小城羊羹」、「季節の棹物」、12月の「黒豆羊羹」がこれにあたります。


羊羹を選ぶ際のポイント

日持ちがするものがよいのであれば、「流し込み羊羹」から選ぶのがいいでしょう。値段によって小豆の種類、砂糖の種類が変わるので、その違いを楽しむのもいいかも知れません。 賞味期限が180日間のものが主ですが、「丹波白小豆製羊羹」、「丹波大納言製羊羹」のみは、60日間となっていますのでご注意ください。これは、餡の製造の段階で、通常の漉す作業に加え、更に手漉しを入れているため、餡のきめが細かく、口どけがよいことに加え、羊羹の原形である蒸し羊羹の軟らかな舌ざわりをひきだすため煉りを抑えてあり、日持ちがしないためです。

すぐにお召上がりになるのであれば「流し箱羊羹」や「切り羊羹」がおすすめです。砂糖が糖化するため、外側の食感はシャリシャリしているのですが、なかは普通の羊羹よりも柔らかく、切り出しのとろりとした舌ざわりは生菓子感覚で御召し上がり頂けます。これは、「切り羊羹」、「流し箱羊羹」は普通の「流し込み羊羹」のように密封しないため通気性が良く、煉り具合を抑えることが可能だからです。「流し込み羊羹」で同じ煉り具合にすると、離水して品質が劣化してしまいます。

その中でも、「流し箱羊羹」は、「羊羹の出来立て」に近い状態が味わえるので更におすすめです。

「切り羊羹」、「流し箱羊羹」の賞味期限は11月〜3月が20日間、4、10月が18日間、5〜9月が13日間です。
(「櫻羊羹」のみパッケージが違うため一年中15日間となっています。)


煉り羊羹の日持ち

蒸し羊羹よりも日持ちがするとはいえ、煉り羊羹も生ものです。暑さや、湿気にはことのほか敏感で、品質を保つ上でも夏場は「煉り」を若干硬めにし、日持ちをよくするようにしています。それでも「切り羊羹」、「流し箱羊羹」で一週間から半月、「流し込み羊羹」で六ヶ月ぐらいが日持ちの限度です。

以前当店では、夏場「特製切り羊羹」の製造を見合わせていた時期があります。現在でも「切り羊羹」の箱詰めには特別の心遣いをお客様にお願いしております。箱詰めをもらうとついついしまい込み、日がたって開けたときには品質が劣化しているということがあるからです。

村岡総本舗の羊羹をもらったり、買ったりされるときは必ず賞味期限をお確かめください。全国的にも珍しい「切り羊羹」が伝統の銘菓として広く親しまれつづけるためにも、日持ちについてのご配慮をお願いいたします。

また、羊羹の表面にできる砂糖の糖化で白くなった状態を、カビと間違われるお客様がいらっしゃいますが、賞味期限内であればそういうことはございませんのでご理解ください。


羊羹づくり(製法)

製法

豆洗い機で洗い出した小豆を豆炊き釜(高圧釜)で煮ます。豆の煮あがり具合を調べます。

次の槽で撹拌します。布袋に餡を流し込みます。
   

圧搾機で水をしぼり出します。餡と砂糖と寒天を入れ込んだ後、煮上げます。

しぼった餡を入れ込みます。砂糖を入れ込みます。

流し込み羊羹(極上羊羹の場合)

流し込み羊羹は羊羹の充填から封まで全自動で行なわれます。検品して枠に入れ、冷却室に保冷します。

極上羊羹は、竹の皮で包みます。完成品です。

切り羊羹(特製切り羊羹の場合)

切り羊羹は、流し箱に入れ込み、一昼夜寝かせます。切り分けます。

竹の皮に包みます。経木に包みます。


完成品です。

製法へのこだわり

なんといっても一番のこだわりは、昔ながらの羊羹である「特製切り羊羹」や「流し箱羊羹」を製造していることでしょう。

全国的には、銀色のラミネート紙に入った「流し込み羊羹」が今はほとんどだと思いますが、このラミネート紙が発明されたのは、昭和の初めで、それまでは、「切り羊羹」のような羊羹が日本各地にございました。ただ、「流し込み羊羹」に比べると「切り羊羹」は賞味期間が短く、手間がかかるため、だんだんと作られないようになったのだと思います。

液状の羊羹を箱に流し込み、一昼夜寝かせ、固まった状態のものを手で切り分け、竹の皮で包むといった一連の作業は、「流し込み羊羹」には無い作業です。

ただ、その手間をかけるだけのおいしさが「切り羊羹」にはございます。

流し込み羊羹と比べ、一昼夜寝かせる段階で、余分な水分が飛ぶため、外側は砂糖のシャリ感があるのですが、中は非常にやわらかいのです。

また、そのおいしさを支持してくださる佐賀の方々、九州の方々のおかげで、この製法が残っているのだと思います。おそらく佐賀県は、この「切り羊羹」が一番多くの店舗で作られている県であり、そのためか、一世帯あたりの羊羹消費額が全国平均の二倍以上の金額で一位であります。

全ての羊羹に共通するこだわりとしては、「煉り具合」がございます。

「羊羹煉り十年」と呼ばれるぐらい、羊羹の煉り具合は、難しいものとされてきました。

温度が高く湿度も高い夏は水と餡が分離しないように固めに煉り、冬は煉りすぎて砂糖の結晶が出ないようにやわらかめに煉ります。微妙な煉り具合で味が変わってしまうため、しゃもじを使って煉り具合を見極める際の職人の表情からは緊張感が伝わってきます。

 

また、5千円以上の羊羹では餡を100メッシュのふるいを使用し手で漉しています。これほどまでにきめの細かいふるいを羊羹の餡に使用することは全国的に見ても珍しいと思われます。この作業により、きめの細かい餡ができ、口解けが良く、風味豊かな羊羹に仕上がります。

各工程において念頭においていることは、「味のよくなる改善をしよう」ということです。効率が良くなっても、味が悪くなるような製造工程の変更が無いようにこれからも努力したいと思っております。