創業明治32年 (1899年) 小城羊羹初祖 村岡総本舗

村岡総本舗だより9月号228号

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◆村岡総本舗だより(パソコンEメール版)◆
       令和2年 9月号 No.228
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         シベリアのミステリー

 7月下旬のある朝 村岡総本舗にはシベリアの注文が続々とネット上で送られていました。
突然のことでありましたが、昨年三越伊勢丹百貨店の歳暮品として選定されたシベリアセット
の内の三角シベリアが全国各地からリクエストされていたのでした。

 ネット上でお取り寄せ生活研究家のaikoさんの推薦があり、とりわけ百年以上の歴史と
される三角シベリアが「おすすめ」の品となっておりました。

 シベリアは不思議な伝統菓子であり、出自は不明で名前の由来も定説はありません。

 シベリアは大正時代のおよそ百年以前関東の地で生れ、宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」や
NHK大河ドラマ「いだてん」にも登場した東日本では知られているカステラで餡を包んだ
焼菓子です。

 羊羹づくりで122年目となる村岡総本舗がシベリアの仕事をいただいたのは昨年の6月
のことでした。

 ご要望に応じてシベリアづくりを志しましたが、九州にはカステラは本場長崎があり、村岡
総本舗の餡づくりも長い伝統がありながらシベリアは九州を含む西日本では殆どつくられて
いないことに気づきました。参考としたシベリアは長方形でありましたが、一般的には三角
形のため、まず三角形に取り組みました。

 三角形のシベリアは長崎式伝統カステラ製造が1970年以来約50年の歴史があること
から意外と簡単にでき上りました。
  
 1991年から30年近いバターカステラ製造の実績をふまえて、丸いバターカステラの
シベリアを用意しました。いずれも餡は赤小豆を用いて、さらに薄く切った羊羹をはさむシ
ベリアも候補のひとつに加えました。

 ここで通常の餡をカステラではさむシベリアにイノベーションが実現しました。餡だけで
なく、餡で羊羹をはさんだ3層の中央部分の外側にカステラ、という5層のシベリアが発案
されたのです。しかも餡は粒あんが用いられています。
 そして伝統製法カステラの三角シベリアとバターカステラの丸シベリアの2種とともに採
用され、令和元年三越伊勢丹歳暮ギフト型録の最初の頁を飾ることができました。
 令和2年3月からは丸シベリアの改良形の長方形のシベリアが「シベリア」として、村岡
総本舗全店で販売を開始しました。
 
 aikoさんの村岡総本舗のシベリアに感じたミステリーは簡単につくれるはずのシベリ
アが「手間」がたくさん重なっていることでした。
 シベリアは通常カステラと餡で製造されていますが、餡を自ら製造することは少ないようで
す。当然、村岡総本舗のような自家製餡、餡を炊き仕上げるのに2時間以上を要する「手間」
は必要なく、羊羹づくりとなるとさらに煉り上げ裁断する伝統製法はのべ1日半以上かかる
「手間」が求められます。
 
 そしてこれらの餡と羊羹を薄くカステラの間に3層にはさむ「手間」が必要です。
さらに型枠に入れ、ひとつひとつをフィルム状の袋に包装する「手間」が加わります。

  餡や羊羹づくりは原料の豆の選択に始まります。
精選された豆をていねいに餡づくりする自家製餡で仕上げ、さらに羊羹とするための技術と
「手間」が求められます。
  
 村岡総本舗は羊羹に用いる豆と直接原料となる餡について120年以上の歴史の中で様々
に工夫を重ねてきました。
「原料にまさる技術なし」のことば通り全国から「おいしさ」につながる上質の豆を選択
してきました。
 百年前の大正9(1920)年鉄道駅への納入が実現し、その2年後の大正11(1922)
年には蒸気応用、電動機利用の機械化が成し遂げられました。
 蒸気応用による熱の均一化と電動機利用による煉り上げの省力化により羊羹の品質は飛躍
的に向上しました。
 その後餡づくりの機械化に取り組み、キメの細かい餡づくりは全国最高水準に達していま
す。
 加えて豆の苦味と砂糖の甘味のバランスをとるため、豆のアク抜きに注力し、豆の風味を
最大限に生かす餡づくりを続けてきました。

 この永年の羊羹づくりが高く評価され、平成27(2015)年には「本場の本物」とし
て伝統製法羊羹が認定され、同年5月開催の世界初の食の博覧会「ミラノ万国博覧会」に出
展し、日本パビリオンのメイン会場にてワークショップを担当する栄誉を授かりました。

 羊羹に欠かせない寒天のトロ味、豆の風味、砂糖の程良い甘味を表現した伝統製法の羊羹
がカステラのあじわいと調和した「手間」をかけたシベリアが、aikoさんの驚きにつな
がったと推察しています。

「手間」がかかるシベリアならではのおいしさがaikoさんの心に届き、アイスコーヒー
とのコラボレーションを推奨いただきました。

 今年日本遺産に認定された「砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード~」を代表する
伝統菓子、羊羹とカステラが協力してつくりあげるシベリアの不思議なおいしさをお楽しみ
下さい。

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