創業明治32年 (1899年) 小城羊羹初祖 村岡総本舗

村岡総本舗だより7月号250号

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◆村岡総本舗だより(パソコンEメール版)◆

令和4年 7月号  No.250

 

 

丸ぼうろのミステリー

 

文月7月となり、待望の西九州(長崎)新幹線開通まで百日を切りました。

 

2年前「砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード~」が日本遺産に認定されました。

当初この地域では認定の栄誉に多くの人々が喜び、様々な報道がなされました。

現在期待されていることは、シュガーロードの菓子が他の地域と比べて、どのような歴史

と伝統があり高い価値をもつかということであり、この「おいしさ」「すばらしさ」の元を明

らかにすることであるようです。

 

長崎の「カステラ」や小城の「ようかん」については、刊行物も多く、社会的評価も定まっ

ています。佐賀の「丸ぼうろ」は佐賀市にとっての「文化遺産」であり「宝」として高齢者大

学やFMラジオ局等の女性を中心とした多くの方々が応援団を展開しています。

このような地域ぐるみの菓子応援は、伝統菓子にとって大いなる恵みとなっていて、菓子の

歴史の中でも特筆される状況となってきています。

 

ここで数少ないといわれる「丸ぼうろ」の歴史や伝統について、今後の日本遺産の一助と

なることを目ざして今までもたらされた記録をまとめてみたいと存じます。

 

最も古い記録とされる「南蛮料理書」には第1の「ぼうろ」の項に以下の記載があります。

 

小麦粉一升(1.8ℓ)に白砂糖五十匁(188g)を加え、塩水でこね、薄く伸ばす。厚さ

は五分(1.5cm)くらいにして車で切る。鍋に紙を敷き、上下に火を置いて焼く。口伝が

ある。

 

「車」は製菓用の道具で、丸い輪の真鍮(しんちゅう)製とされています。この記録では

古い製法のため卵は使用されていませんが、佐賀市の老舗「鶴屋」が残した菓子製法書「鶴屋

文書」の幕末元治二(1865)年から明治十九(1886)年の記録では、しっかりと卵

が原料となっています。

 

「車」の丸い金型でひとつひとつを生地から抜いて焼き上げる伝統製法が佐賀市を中心に

残されています。元は長崎にあったと想定されていますが、佐賀平野山麓部のグルテンの高い

小麦が「丸ぼうろ」の原料として適材であったという説があります。

 

昭和30年代からの菓子製造の機械化により、「丸ぼうろ」も機械化が進み、佐賀市内でも

伝統製法と機械化された現代製法の二種の「丸ぼうろ」が共存しています。

 

この状況とはいく分違いがあるものの、地域においては小城の羊羹における伝統製法と現代

製法(アルミケース)の使い分けがあります。小城の場合の羊羹づくりにおいては、いずれも

製造している店が多く、全国的にも珍しい羊羹づくりが行なわれています。

 

全国で有名になりつつある佐賀の「丸ぼうろ」ですが、50年前村岡総本舗が製造を始め

た頃にはクレームが多発していました。当時有名であった京都の「そばぼうろ」との比較で

「焼き不足?」が問題となりました。しっかり焼き上げた「そばぼうろ」が硬いのに対し、

「丸ぼうろ」はふわふわで焼きが不足との声が全国から届いたのです。また「湿気が来ている

不良品」の連絡もいただきました。ふわふわの原因は焼き不足に加え放置したために本来の

カリッとした焼き菓子のあじわいがなくなっていると感じられたためでした。

 

約400年前の「南蛮料理書」約150年前の「鶴屋文書」に、九州・佐賀を中心とした地

域に記録として残る「丸ぼうろ」は、あまりにも地元で当り前の伝統菓子であったために、そ

の来歴や製法についてあまり語られず、謎の菓子であり、このようなミステリーが残されてい

るのです。

 

近刊のポルトガル菓子図鑑(2019年誠文堂新光社)には、「ボーロ」「カヴァカシュ」の

頁に佐賀の丸ぼうろと似た菓子だと紹介されています。いずれもその形、あじわいは似ています

が、数百年の時空の内に変化したところもあり、伝統菓子の変容がここにも示されていました。

 

伝統製法の丸ぼうろの「あじわい」は独特の生地づくりにあります。機械製の現代製法では

表わせない独特の小麦の粘りの舌ざわりと、卵の風味と甘味が、口の中で伝統のおいしさをつ

くりだしているのです。

 

一個一個の丸ぼうろは型抜きの伝統製法によって丸く収まり、絶妙の「あじわい」を表わし

てきました。

 

姿、形は微妙に異なる個性的な伝統製法の「丸ぼうろ」の「おいしさ」をこの風土ならでは

の銘菓、シュガーロードの贈り物としてお楽しみ下さい。

 

丸ぼうろ https://muraoka-sohonpo.com/?pid=103504967

 

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