――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆村岡総本舗だより(パソコンEメール版)◆
令和3年 7月号 No.238
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
日本遺産認定の「砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード」が6月1周年となり、
構成文化財となった村岡総本舗羊羹資料館は8月建築80年の記念すべき時を迎えます。
砂糖倉庫として建設された村岡総本舗羊羹資料館は昭和16年8月に完成に至りまし
た。太平洋戦争を目前にした軍国主義の時代、砂糖を保管する重要な建物として防湿構
造の地上40センチメートルの高床式となりました。燃焼しやすい砂糖を護るため、
防火タイルを多用した防火構造の重厚な建築となりました。
物資統制は昭和14年に始まり、昭和16年8月は羊羹の製造においては様々な制約
がありました。それでも二代目村岡安吉は軍用食としての羊羹の需要に可能性を求め、
缶詰、アルミ箔等の新素材包装による携帯食保存食としての羊羹の未来を模索していま
した。そして単なる砂糖倉庫ではなく、羊羹のふるさと小城のランドマークとしての建
築を目ざしたのでした。
「NHK BSテレビ 美の壺スペシャル レトロ建築 令和3年5月30日放送」では
村岡総本舗羊羹資料館と同様のスペイン様式の軒瓦が登場しました。村岡総本舗羊羹資
料館のミステリーのひとつであるスペイン様式の軒瓦や壁面タイルはこの番組で解明が
始まったのです。
番組では1927(昭和2)年建築の東京新宿の旧小笠原長幹邸が紹介されました。
旧小倉藩主の子息 小笠原長幹(おがざわらながもと1885-1935)は貴族院議員、
陸軍参事官、国勢院総裁を歴任しました。
このスパニッシュ様式の1100平方メートルの建築を設計したのは曽禰中條建築事務
所(明治41年~昭和12年)でした。曽禰達蔵、中條精一郎は辰野金吾、片山東熊ら
とともにシャサイア・コンドルの弟子で、慶應義塾大学図書館は二人の作品です。
このスパニッシュ建築は当時アメリカを経由したもので、大正末期から昭和初期にかけ
て大流行した様式とされています。村岡総本舗羊羹資料館では軒に緑色の円筒型の瓦を
交互に組み合わせたスパニッシュ瓦を葺いています。これと同じ形状、色彩の瓦が小笠
原邸にも数多く使用されていて、この番組からは流行を敏感に取り入れた村岡安吉の進
取の精神が伝わってきます。
同時にシュガーロードが400年以上前に南蛮の道を通ってつながっていたことにも思
いが巡らされます。
曽禰達蔵は辰野金吾と共に唐津小笠原藩の藩士の家に生れ、後に首相となった高橋是
清に英語を学び、一丁ロンドンといわれた東京丸の内のオフィス街の建築に力を尽くし
ました。小笠原長幹邸の建築においても小倉小笠原藩と唐津小笠原藩が縁跡であったこ
とから依頼されたといわれています。
この流れは現代建築の雄といわれた唐津出身の村野藤吾にも及び、村野は辰野、曽彌
の両先輩の存在から、早稲田大学の電気科に入学したものの、中途で建築を志し建築科
卒業となったことが記録されています。G7世界経済サミットの伊勢志摩開催の主会場
となった志摩観光ホテルや新高輪プリンスホテルなどの名作品を残しました。
ちなみに新高輪プリンスホテルの茶室の建築写真資料は村岡総本舗オリジナルカレン
ダーすなわちシュガーロードカレンダーの撮影者(作者)藤田満氏が村野藤吾の依頼に
よって撮影したとされています。
緑のスパニッシュ瓦は進取の精神で羊羹づくりに励んだ村岡安吉の魂のシンボルであ
ったといえましょう。常に未来を見つめ、あるべき姿を描いた安吉は羊羹の運送にも工
夫を重ね、大八車(車力)、自転車、サイドカー、三輪車、トラック、ワゴン車等様々
な挑戦を続けました。最新の「おぎまんが」にも取り上げられています。
5月10日の小城市聖火リレーの最終地点となった村岡総本舗羊羹資料館は、平成9
年国有形登録文化財、平成17年22世紀に残す佐賀県遺産、令和2年日本遺産構成文
化財となり名実共に日本の宝となりました。6月19日日本遺産1周年を機に「シュガ
ーロードカレンダー写真展」の20枚の写真は張り替えられ、新しいシュガーロードが
登場しています。スパニッシュ瓦の軒瓦とともに、新しい発見を求めて村岡総本舗羊羹
資料館にご来館いただきますようご案内申し上げます。
===================================
★フェイスブック・インスタグラムのご案内
季節限定の商品や、各地催し物のご案内を写真付きでご紹介しております。
「Google」にて「村岡総本舗 Facebookまたは、インスタグラム」で検索、
又は下記をクリックの上、ご覧頂ければ幸いです。
フェイスブック:https://www.facebook.com/muraokasouhonpo/
インスタグラム: https://www.instagram.com/muraokasohonpo/
―――――――――――――――――――――――――――――――
★全国各地のお求め先はこちら
店舗案内 https://muraoka-sohonpo.co.jp/tempo
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆村岡総本舗だより◆
提供・発行:(株)村岡総本舗 http://www.muraoka-sohonpo.co.jp
本店・羊羹資料館 佐賀県小城市小城町861
TEL 0952-72-2131(代)
営業本部 TEL 0952-37-3173(代)
FAX 0952-37-3191
※本誌に関する御意見・御感想・お問い合わせなど
info@muraoka-sohonpo.co.jp